いきなり転職活動ではなく、はじめに資格取得を行った方がよいと考えています。
会計の知識や経験が全くない方は、簿記3級取得をオススメします。
その理由は、経理業務はやはり専門職だからです。
専門職を志すためにも、最低限の資格(簿記2級)が必要だと考えます。
しかし、いきなり簿記2級から何もない状態でチャレンジするとしんどいので、まずは簿記3級からの取得をオススメしています。簿記3級だと、一般的には1日1時間から2時間で勉強で約3ヶ月で取得できると言われています。最近ではネット試験も行われているので会計の専門家の入門資格としてオススメです!
なぜ、簿記3級を取ろうと思ったのか?
自分自身に会計の知識がなく、どこから勉強してよいかわからなかったために簿記3級の勉強から始めました。
簿記3級合格までの流れ
簿記3級の試験を合格するまでの一般的なステップを紹介します。
ただし、個々の人の進行速度や理解力は異なるため、このプロセスは個々の状況に応じて調整することが重要です。
簿記の基本的な概念を理解する
簿記の基本的な概念を学ぶことから始めます。これには、資産、負債、資本、収益、費用などの基本的な会計要素、二重簿記の概念、仕訳、試算表などの作成などが含まれます。
このあたりは、理解することは必要ですが、過去問を解く中で理解が追いついてくるために執拗に頑張る必要はありません。
教材の選択
簿記3級の対策のための教材を選びます。
過去問題集は必ず購入しましょう。
現在は、オンラインでの講義や動画のコースなどもあります。
現在の自分自身がチャレンジできる教材を調べてみましょう!!
勉強のスケジュールを立てる
簿記3級の勉強で大事なことは、「講義」「問題集」「過去問」の三つをバランスよく行うことです。特に「過去問」が最も大事です。初めは0点でも「過去問」の解答を見ながらでも取りかかることをオススメします。
模擬試験を受ける
学習が進んだら、模擬試験を受けてみましょう。
大手の資格学校や商工会議所で開かれています。
本番の空気を吸うためにも是非一度は受けてみてください!!
弱点を克服する
模擬試験の結果を元に、弱点となっている部分を特定し、その部分を重点的に学習します。
簿記3級の試験範囲
簿記3級の試験範囲について具体的に紹介していきたいと思います。
基本的な部分ですが、初めて学ぶ方は過去問題集を中心に理解を進めていきましょう!
現金取引
現金取引は会計における基本的な要素で、簿記3級の試験においても重要なテーマです。具体的には、現金の入出金を正しく仕訳するために、以下のような基本的な知識とスキルが求められます。
●現金の入金
現金が増える取引を仕訳するときは、現金という資産が増えるので、現金を借方に記入します。具体的な例を挙げると、
商品の販売による現金受取: 売上(収益)を認識し、現金を受け取る場合の仕訳は次のようになります。
[借方] 現金 [貸方] 売上高
●借入による現金受取
銀行から借り入れたとき、借入金(負債)が増え、現金(資産)も増えます。
[借方] 現金 [貸方] 借入金
●現金の出金
現金が減る取引を仕訳するときは、現金という資産が減るので、現金を貸方に記入します。具体的な例を挙げると、
購入による現金支払: 商品やサービスを現金で購入する場合、支払いにより現金が減少します。
[借方] 費用(または在庫、設備など) [貸方] 現金
借入金の返済による現金支払: 銀行への借入金を返済するとき、借入金(負債)が減少し、現金(資産)も減少します。
[借方] 借入金 [貸方] 現金
これらの基本的な原則を理解し、様々な現金取引の場面で適切に仕訳を作成する能力が、簿記3級試験の現金取引の部分で求められます。実際の問題では、これらの基本的な取引のほかに、減価償却費や配当など、さまざまな要素を含む複雑な取引の仕訳も問われることがあります。
預金取引
普通預金は、我々が日常的に利用する預金口座の一種で、預け入れたお金をいつでも引き出すことができます。普通預金の特徴はその自由な流動性ですが、その反面、普通預金につく利息は通常低いです。
財務会計における普通預金は、「普通預金(資産)」という勘定科目として扱われます。これは企業の資産として記録され、普通預金口座から引き落とされる際にはこの勘定科目が使われます。
一方で、定期預金は、預け入れたお金を一定期間(たとえば3ヶ月や1年など)引き出さないという条件で、普通預金よりも高い利息を得ることができる預金です。この定期預金も「定期預金(資産)」という勘定科目として扱われます。
次に、当座預金について説明します。当座預金は企業や店舗が主に利用する預金で、小切手や手形の決済、すなわち支払いや受け取りに使うことができます。ただし、一般的に当座預金には利息がつきません。
小切手の支払いでは、小切手を受け取った時は、現金の増加として記録されます。なぜなら、受け取った小切手はすぐにお金に換金できるからです。
そして、自分が小切手を振り出した時は、最終的に自分の当座預金から差し引かれるので、勘定科目「当座預金(資産)」の減少として記録されます。また、当座預金にお金を預け入れた場合は、「当座預金(資産)」の増加として記録されます。
商品売買
商品売買について理解するためには、まず三分法という簿記の方法を知ることが重要です。これは、「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を使って仕訳を行う方法です。以下では、「仕入」と「売上」について解説します。
仕入は、会社が商品を他の会社から購入する際に必要な出費を指します。会社が収益をあげるために必要な支出なので、これは費用として扱われます。たとえば、ペンタ社がペンキチ社から商品を200円で仕入れた場合の仕訳は以下の通りとなります。
借方 金額 | 貸方 金額 |
---|---|
仕入 200円 | 現金 200円 |
仕入れた商品が売れたとき、すなわち売上が発生した場合、これは会社の収益を増やすものとして扱われます。例えば、ペンタ社がペンゾウ社に商品を300円で売った場合の仕訳は以下の通りとなります。
借方 金額 | 貸方 金額 |
---|---|
現金 300円 | 売上 300円 |
以上が商品売買の基本的な考え方です。これらの理解を基に、さまざまなビジネスシーンでの仕訳が可能になります。繰越商品については、売上原価の算定の際に学習することになるでしょう。
手形・電子記録債権
簿記3級の電子記録債権と電子記録債務について説明します。
『電子記録債権』とは、既存の手形や売掛金とは異なる、電子化された新しい種類の債権です。電子記録機関に売掛金などの債権を登録することで、電子記録債権が発生します。
電子記録債権・電子記録債務は紙で行う手形と異なり、ペーパーレスで管理できるため、紛失や盗難のリスクを軽減でき、管理コストも削減できます。また、収入印紙代の節約や事務手続きの軽減などのメリットもあります。
電子記録債権の発生は、電子的に記録して「お金をあとでもらえる権利」を得ることで、債権者(受け取る側)は『電子記録債権(資産)』として仕訳します。一方で、「お金をあとで支払う義務」を電子的に記録すると、債務者(支払う側)は『電子記録債務(負債)』として仕訳します。
この考え方は約束手形や 買掛金と売掛金とほとんど同じです。電子記録の場合の勘定科目と電子記録ではない場合の勘定科目を比べると以下のようになります。
- 負債:電子記録債務 vs 支払手形・買掛金
- 資産:電子記録債権 vs 受取手形・売掛金
例題について解説します。
例題1の場合、ペンタ社はペンゾウ社から電子記録債権の発生記録の請求を受け、これを承認しました。それぞれの会社の仕訳は以下の通りです。
- ペンタ社(債権者):売掛金 1,000円(貸方) → 電子記録債権 1,000円(借方)
- ペンゾウ社(債務者):買掛金 1,000円(借方) → 電子記録債務 1,000円(貸方)
例題2の場合、電子記録債権の支払期日が来たため、ペンゾウ社からペンタ社へ1,000円が振り込まれました。それぞれの会社の仕訳は以下の通りです。
- ペンタ社(債権者):当座預金 1,000円(借方) → 電子記録債権 1,000円(貸方)
- ペンゾウ社(債務者):電子記録債務 1,000円(借方) → 普通預金 1,000円(貸方)
以上が電子記録債権と電子記録債務についての基本的な説明と、それらの仕訳の例です。
固定資産・経費等
固定資産は、企業が事業運営を維持するために、持続的にキャッシュを生み出す資産を指します。主に、以下の4つの会計項目に区分されます。
『設備』(せつび) オフィス用の椅子、デスク、書棚、コンピューターなど。
『輸送具』(ゆそうぐ) 営業活動に使用される車両やトラックなど。
『建築物』(けんちくぶつ) オフィスビル、店舗、倉庫などの建物。
『土地』(とち) オフィスビルや店舗、倉庫、駐車場などが立つ土地。
固定資産のカテゴリー ※ 固定資産は具体的には有形固定資産と無形固定資産に分けられますが、簿記3級では形状を持つ有形固定資産を主に扱います。
固定資産 例 有形固定資産 設備、輸送具、建築物、土地 無形固定資産 ソフトウェア、特許、商標、営業権
固定資産の仕訳 固定資産の仕訳を行う場面は、以下の4つです。
1.固定資産を購入した時
2.固定資産を即座に売却した時
3.決算時(固定資産の減価償却)
4.購入から一定期間経過した後に固定資産を売却した時
このように「2. 固定資産を売却した時」と「4. 一定期間経過した後に固定資産を売却した時」を区別しているのは、固定資産には減価償却という概念があるからです。
新品のPCと中古のPCの価格は違うでしょう?
時間の経過とともに固定資産の価値は下がるものです。
「価値が下がった分を経費として計上すること」を減価償却と呼びますが、詳細は固定資産の減価償却の部分で学んでいきます。
今回は、1.と2.について詳しく見ていきましょう。
3.と4.については、固定資産の減価償却の話題までお待ちください。
固定資産を購入した際の仕訳 固定資産を購入する際には、会計項目として「設備(資産)」、「輸送具(資産)」、「建築物(資産)」、「土地(資産)」として仕訳されます。
設備・輸送具・建築物・土地 固定資産を購入するときは、手数料が発生することがあります。例えば、オフィスビルを購入する際には、不動産の仲介手数料が必要です。
固定資産の購入価格を「取得費用」 手数料を「附随費用」 取得費用と附随費用の合計を「取得原価」 と呼びます。
[ 取得原価 ] = [ 取得費用 ] + [ 附随費用 ]仕訳する際の金額は、取得原価を記入します。
実例1 アルファ社は、土地を50,000円で購入し、500円の手数料を含めて全額現金で支払った。
実例1 解答・解説を表示
固定資産を売却した際の仕訳 固定資産は価格が変動するものがあります。
例えば、土地は値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。
購入価格よりも高く売れると利益を得られますが、 購入価格よりも安く売れると損失を被ります。
1.「購入時の価格(取得原価) < 売却時の価格」の場合
その差額は、「固定資産売却益(収益)」として仕訳されます。
固定資産売却益 2.「購入時の価格(取得原価) > 売却時の価格」の場合
その差額は、「固定資産売却損(費用)」として仕訳されます。
純資産
純資産は貸借対照表(バランスシート)に示される資産と負債の差額で、企業の純資産額はその企業の経済的価値を表しています。日商簿記3級では、「資本金」「繰越利益剰余金」「利益準備金」の3つの勘定科目が主に取り扱われます。
- 資本金: これは会社が株式を発行して集めた資金で、株主が会社に対して出資した金額を表しています。会社が設立された際や、増資が行われた際に株式が発行され、その資金が資本金となります。
- 繰越利益剰余金: これは「会社が活動を行って得たもうけ」を表しています。会社の活動により生じた利益(当期純利益)が積み上がったものが繰越利益剰余金です。会計期間(通常は1年)が終了するたびに、収益と費用が損益という一時的な勘定科目に振替えられ、その後繰越利益剰余金に振替えられます。これは損益振替と呼ばれています。
- 利益準備金: これは株主に対する配当の一部を会社が保有し続けるためのもので、会社法により設けることが定められています。配当を行うことによる資金流出を規制し、資金の保全を図る目的があります。利益準備金の積み立ては、繰越利益剰余金から行われます。
純資産の仕訳は、これらの概念を理解し、企業の資金調達と利益の処理を表現するためのものです。純資産は企業の経済的価値を示すとともに、将来の成長に必要な内部留保を形成します。
決算整理仕訳
日商簿記3級の決算整理仕訳は、事業年度の終わりに行う会計処理の一部です。以下に各項目を詳しく説明します。
- 「売上原価」の算定 – 3分法: 3分法では、期末の在庫は「仕入」勘定から「商品」勘定へと振り替えられます。仕入れた商品のうち、まだ売られていない分がここに該当します。また、期首の在庫は、その年の売上に関連するコストとして売上原価に加えられます。
- 「現金過不足」の振替: 現金の実際の有高と帳簿上の残高が一致しない場合、その差額を「現金過不足」勘定で調整します。その原因が決算までに明らかにならない場合、その差額は「雑損」または「雑益」の勘定に振り替えられます。
- 「当座借越」への振替: 決算時に「当座借越」勘定に貸方残高がある場合(借入状態)、それは「借入金」など適切な負債勘定に振り替えられます。
- 「貸倒引当金」の設定: 会社が将来貸し出した資金の一部を回収できない可能性があるとき、「貸倒引当金」を設定します。これは、損失を見越した予備の資金です。
- 減価償却: 資産の価値が時間と共に低下することを考慮し、その資産の原価を毎期減少させることです。これは、その資産から生じる収益を適切に反映するための処理です。
- 費用・収益の前払・前受・未払・未収: すでに支払ったが、その対価を未だ受けていない費用を「前払費用」とし、受け取ったが対価を未だ提供していない収益を「前受収益」とします。また、既に対価を受けたがまだ支払っていない費用を「未払費用」、提供した対価をまだ受け取っていない収益を「未収収益」とします。
- 「貯蔵品」への振替:「租税公課」などの支出を処理する際、未使用分は「貯蔵品」勘定に振り替えられます。これは、未使用分がまだ会社の資産であることを反映するためのものです。
- 法人税・消費税の確定申告: 法人税は、期末に計算した税額から中間申告時に支払った税額を差し引いて確定します。また、消費税の決算整理では、残高のある「仮受消費税」勘定と「仮払消費税」勘定を相殺し、それを「未払消費税」勘定に振り替えます。
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