未経験からの経理転職|連結決算の理解と学び方
この記事は、未経験から経理転職に成功した私自身の体験を紹介しています。
今回は「連結決算」との出会いに関してです。
連結決算って何?
連結決算とは、親会社とそれが所有する子会社の金融活動を全部まとめて報告することです。つまり、親会社と子会社が一つのチームとして働いていると見なし、そのチーム全体の財務状況(お金の状態)を示す一つのレポートを作ることです。
たとえば、親会社の資産(持っている物やお金)と子会社の資産を全部足し合わせて、全体としてどれだけの資産があるかを示します。同じように、負債(借金)や収益(売り上げ)も全て足し合わせて報告します。
ただし、親会社と子会社の間で行われた取引(例えば、親会社が子会社に何かを売った場合など)は、全体の視点から見ると「内部でのやりとり」なので、その部分は計算から外されます。
この連結決算は、会社の全体像を把握するためにとても大切なレポートで、投資家(株を買った人)や銀行などが会社の健全さをチェックするために使います。
担当者は何をしないといけないの?
一つ前の章で紹介したとおり、親会社と子会社、あるいは子会社同士の取引は、連結決算上では相殺処理を行う必要があるために、この取引額を算出し、決められた「連結決算パッケージ」に報告する必要があります。これは、お互いの会社同士で算出して報告をあげるために、差異が発生する場合があり、その場合は原因を調査し報告をしないといけません。
連結決算では、親会社と子会社間の取引や帳簿上の関係を明確にするために、いくつかの相殺処理が行われます。以下に主なものを列挙します:
内部取引の相殺
親会社と子会社間で行われた取引(売上、コストなど)は、連結決算においては「内部取引」とみなされ、相殺されます。つまり、これらの取引は連結財務諸表からは除かれます。
内部貸借の相殺
親会社が子会社に貸し出した金額や、子会社が親会社に貸し出した金額も、連結財務諸表においては相殺されます。親会社と子会社間の借入・貸出金は、全体として見た場合、互いに帳消しになるためです。
未実現利益の相殺
親会社が子会社に商品を販売し、その商品が子会社の在庫となっている場合、その商品に含まれる利益は「未実現利益」となります。この未実現利益は、連結決算においては利益として認識せず、相殺されます。未実現利益は、その商品が子会社から第三者に販売された時点で初めて利益として認識されます。
投資と資本の相殺
親会社が子会社への投資をした場合、その投資額と子会社の資本金は、連結決算においては相殺されます。つまり、親会社の子会社への投資は子会社の資本として表示されます。
これらの相殺処理は、企業グループ全体としての財務状況を正確に反映するために必要な手続きです。
ここで会計士(CPA)と出会う
公認会計士が監査法人から訪れる際、主な目的は「財務監査」を行うことです。財務監査とは、企業の財務諸表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書など)が、会計原則や法令に従って適切に作成されているかを確認することです。
具体的には公認会計士は以下のような作業を行います:
文書確認
財務諸表やその他の会計記録、関連する契約書や受領書などの文書を確認します。これにより、記録が適切に行われているか、また記録の背後にある取引や事象が正確に反映されているかを確認します。
内部統制の評価
企業の内部統制(企業内部のチェック体制やルール)が適切に機能しているかを評価します。例えば、不適切な取引を防ぐための承認フローが適切に機能しているか、重要な決定が適切な人によって承認されているかなどをチェックします。
試算表の確認
会計士は、企業が計算した数値が正しいかを独自に検証するため、試算表の確認を行います。これにより、会計エラーや不一致を見つけることができます。
管理者やスタッフへのインタビュー
必要に応じて、企業の経営者やスタッフとの面談やインタビューを行い、財務諸表に反映されている事象の背後にある事実や状況を理解します。
これらの作業を通じて、公認会計士は企業の財務諸表が「公正かつ適切に」財務状況を反映しているかを判断します。監査が終了すると、会計士は監査意見書を作成し、それを企業や株主、その他の利害関係者に提供します。この監査意見書は、財務諸表の信頼性を評価する上で重要な情報源となります。
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